自分は小児科医として小児がんの子どもたちを主に診てきました。医学が進歩し、たくさんの子どもが治る時代になってきた一方、どうしても天へ旅立ってしまう子達もいます。その最後の貴重な時間をおうちに帰って過ごしたいと希望する子どもや家族もいます。しかし、小児がんの末期には緩和治療や輸血など、たくさんの医療ケアを持って帰らないといけない場合が少なくありません。病院では地元施設を必死でさがしますが、引き受けてくれる訪問診療所は限られており、希望が叶えられないことも多々ありました。今度は自分がそれを引き受ける側になり、少しでもそのような家族の希望を叶えてあげたい、というのが訪問診療を志したきっかけです。
その実際を経験したり勉強したりする中で、もっと数多く存在する医ケア児(者)たちの現状も知ることができました。また並行して一般の小児科クリニックでの一般外来もしてきましたが、診察室での短期間のつきあいだけではなく、患児・家族の人生にもっと寄りそうような働き方の方が自分には合っていると感じました。
微力かもしれませんが、少しでも患者・家族に喜んでもらえるようにがんばりたいと思います。
おむすび診療所 院長浜之上 聡(はまのうえ さとし)